lesson6:恋慕の代償(8)
「……それは、できません」
「どうして」
思わず言ってしまって、髪の毛を掴まれた。
「口答えは許しませんよ、貴女は僕の犬だ。さあ、もう一つあるでしょう、注いで欲しい穴が」
痛いはずの頭皮も、喜びで震えているはしたない自分。膣に入れてもらえないなら、もう、あれしかない。なんでもいい。彼を感じる事が、できるなら……
「僕のこれを入れて欲しいのはどこですか、僕の可愛いわんちゃん。正しい答えが、分かりますよね」
「はいっ、アナルです、アナルに」
「アナルに?何を」
ゆっくりと、成宮は手首のワイヤーを外す。ぺたんと床につぶれた私を抱きかかえると、奥のベッドに横たわらせた。そして、臀部にクッションを入れ込む。きっと、アナルが見えやすくなるため、だろう。脚を開くと、先端をぴったりと、私のその場所に付けた。
「何が欲しいか、言ってみなさい、さあ」
汗が、成宮のこめかみから伝うのが分かる。屈強な成宮が、私の快感のために汗を流している。それに深く感謝する。私の、ご主人様が、一番。この世で、一番……
「ご主人様の、おちんちんをっ、私の、アナル……にぃ……」
冷たく見つめる、成宮。
「下さいっ」
「よく、できました……」
私の愛液で濡れそぼったそこ。入れて欲しくて、私は全身の力を抜く。ゆっくりと押し広げられ、入っていく成宮のそれ。今までは彼の顔を見ることが出来なかったのに、今日はしっかりと見える。嬉しかった。
「ああ、素晴らしいです……完璧だ、貴女は。僕の犬にふさわしい」
「ああ、ああああ」
身体は折りたたまれ、持ち上げられたそこ。脚を拡げ、根元まで入っているのがよく分かる。視覚刺激が強くて、私は目の前に閃光が走るかのような強烈な快感に見舞われた。
「可愛い、僕のいずみさん……ああ、中がうねって……そんなに僕の精液が欲しいのですか」
「はいっ、ご主人、さまあ……」
「ああ、だめだ。溺れていく……可愛い、可愛い……」
苦痛の表情が愛おしい。私で、私のアナルでこんなに感じて居る成宮。余裕が無くなっているのかもしれないと思うと、ゾクゾクする。
「ひいいっ……」
ぎっちりと奥に突っ込まれ、出して入れて。ヌルヌルに濡れたそこは、奥から何かが滲み出ていく。
「すごいですね、こんなにアナルが濡れるなんて。優秀な犬だ、とっても。貴女しかいない、僕の奴隷は。貴女が最上……」
「気持ちいい、気持ちいい……」
手を伸ばすと、にっこりと笑ってくれた。手を取って、口の中に舌を侵入させてくる。幸せすぎて、何がどうなっているのか分からない。でも成宮がこんなに余裕の無い表情をしているのが、気持ちが良かった。
「……もういっちゃいそうですね」
「いく、いきますっ、だめ」
「まだ駄目です。いったら……許しませんよ」
強く制止されて、恐怖で身体が固まる。でも気持ちよくて、どうしようも無くて、涙が溢れた。
「ううっ……ご主人、様ぁ……でも、私、もう……」
「とびきりの絶頂を貴女にあげましょう、さあ、力を抜いて……腫れあがったここ、を……」
ベッドのサイドテーブルから、ピンク色のローターが出てくる。それが、そっと私の腫れあがったそこに宛がわれた。
「アナルにぶちこまれて、ローターでクリを虐められて――さあ、どんな景色が見える……か」
ブイーン、というバイブの音。期待で膨らんだ脳みそを、一気に解放してくる、その快感。
「あああ、あああああっ」
三角形のそれに、そっと当たっただけで、私の身体は制御が出来ない。後ろの穴が収縮する。予期せず、強制的に絶頂させられる、という恐怖感。
「ご主人さまあ……」
「さあ、いきなさい。僕も貴女に注ぎます。全てを」
「下さいっ、あなたの、精液を……」
「……っ、出しますよ、いいですか。この小さいおなかの中に」
「出してっ、欲しい、欲しい……あああああ」
「いけ、僕の犬……この、淫乱……出る……出るっ、ああ」
一気に跳ね上がる身体。成宮の顔を見ていけるのが嬉しい。いつのまにか、私の結わかれた腕は彼の首に掛かって、身体が密着するほど折りたたまれている。耳を噛まれて、私は空中に放りだされるように、激しい快感に身を委ねた。
「あ……」
止まった呼吸の中、二人で抱き合い、光へと飛び込んだ。
真っ白なその景色は、後ろの苦痛と、縄の刺激で徐々に薄れていく……意識が遠のいていくのが、分かった。
『二度と戻れないかもしれませんよ』
そう言った成宮の言葉が、今やっと分かった気がした。